「中部銀次郎 フェアウエイに残した言の葉」 文・菊谷匡祐
カレドニアンのコース設計の特徴は、リンクス風の味わいを加えたところにあって「スコティッシュ・アメリカン」と称されている。その辺りに不思議な魅力がある。すでに故人となった中部銀次郎が魅かれたのも、コースのアメリカ風とスコットランド・リンクス風の混在したところだったと思う。
「カレドニアンは、なんとなく回ってて面白いんだよね、あそこは」と中部は言う。
「なんとなく面白いって、どういうこと?」と、彼の本音を聞き出そうとする。
「回ってて、まず似たようなホールがない。次のホールに移ると、全く違う印象のホールが待ってる。こういう造り方って、なかなかできるもんじゃないよ」
「言われてみれば、確かに。名門とか謳われているゴルフ場でも、どこも林に囲まれてまるでそっくりみたいなホールが続いているとこ、結構あるな」
「でしょ? プレーしてて単調になっちゃうんだよね、そういうゴルフ場って」
「で、カレドニアンだけど、何が一番いいんだろうか?」
「いつラウンドしても愉しい。それが一番でしょ。よくできているコースだよ」
(出典:『ゴルフクラシック』2008年9月号より抜粋)
