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東京グリーン株式会社
平成16年度新入社員入社式
訓辞 取締役社長 早川 治良
両コースでトーナメント30数回開催、世界的なコースで誇りを持って仕事にあたる
みなさんは入社試験のときに、東京グリーンが経営する二つのゴルフ場について少し勉強されたと思います。両コースについては、手元に配られた『TAM ARTE QUAM MARTE』の本を改めてよく読んでください。
富里ゴルフ倶楽部もカレドニアン・ゴルフクラブも、これまでトーナメントを30数回開催してきたので、日本では非常に有名なコースです。富里は今年の6月で15周年を迎えます。カレドニアンは14年目に入ります。この短い期間にそれぞれ毎年トーナメントを開催してきました。テレビ放映もたくさんありましたから知名度が抜群に高くなりました。
千葉県には、北海道、兵庫県に次いでゴルフ場が154コースあります。関東地域には良いコースもたくさんありますが、その中で富里とカレドニアンは特に世界的な名コースとして高い評価をうけています。みなさんはそのような誇りの持てるゴルフ場に入社されたのですから、ぜひ高い志を持って仕事をしていただきたいと思います。
では何が世界的なのか。それはいろいろな要素から成り立ちます。景観がいいとか、フラットな中に自然のアンジュレーションが生かされているとか、ホールごとの個性と多様性に優れているとか、戦略的な要素が随所にあってプレイの深みがあるとか、最高のメンテナンスがなされているとかです。ゴルフ場はプレイを楽しむところですが、同時に感動をもたらすものでなければなりません。そして「技」を競う場でなければなりません。
富里やカレドニアンは技を磨きコースをどう攻めるか、戦略性が各ホールに詰まっていて、ゴルフの深さを会得していくことができるコースなのです。感動をもたらすものこそ本物だと思うわけですが、両コースはプレイすればするほど人生を感じる造りとなっています。世界的といわれるゆえんです。
感動をもたらすために仕事でも“技(頭脳)”を磨いてください
カレドニアンのモットー『TAM ARTE QUAM MARTE』はラテン語です。これはローマ帝国時代の戦争のことわざで「武力と共に計略も」という意味です。戦争で勝つためには武力と同じくらいにどうやって計略をめぐらすかが重要だということです。
ゴルフでは「力と同様に技(頭脳)も」と金田武明先生は訳しました。最近はタイガー・ウッズが話題ですが、富里では昨年、高校を卒業して入社した野際聡介君が最年少でプロテストに合格しました。彼も300ヤードを飛ばす力を持っているのですごいですが、ゴルフは飛ばすだけではなく、磨かれた小技も必要です。コースでは設計者との戦いとなります。風も吹く、アンジュレーションもある。バンカーや池にどう挑戦するか、自然と自己のコンディションを考える。14本のクラブを使ってどう攻めるかという頭も使わなければなりません。
より遠くに、より正確に、そして頭を使って戦略を立てるというのがゴルフの真髄です。そのような造りをしているゴルフ場は日本では非常に少ないのです。練習場の延長線上のようなコースが多いのです。
大抵のスポーツは平らなフィールドでプレイしますが、ゴルフは自然のアンジュレーションの中でプレイします。ゴルフの原点はそこにあります。ゴルフはスコットランドの海辺のリンクスで生まれたスポーツです。富里を造るにあたって、私を教導してくれた摂津茂和先生の遺稿“リンクスの再発見”はぜひお読みください。コース設計を史的考察されたゴルフ史に残る名文です。これを読めば富里とカレドニアンが『TAM ARTE QUAM MARTE』“力と同様に技(頭脳)も”をモットーにして造られたという意味がよくわかると思います。
コースが完成した時は日本でも衝撃が走りました。スコットランド指向の戦略型コースが日本ではじめて再現されたのです。最近のコースで一番雑誌に取り上げられています。このようなゴルフ場で働くみなさんも戦略を練って、技(頭脳)を磨いて働いてください。
コースの美しさに磨きをかける。社員一人一人の“プロ意識”で本物を追求しましょう!
両コースともいいメンバーがそろっていますし、一流の人たちがプレイにきます。ですから本当に行き届いたサービスをしなくてはなりません。コースもみんなもおしゃれして、ピカピカにしてお客様を迎えるという精神で仕事にあたっていただきたいと思います。
コースを造るときも大変でしたが、それを維持・発展させることも大変です。高品質のコースにさらに磨きをかける。これが難しいところです。心がマンネリになればすぐに品質が落ちてしまいます。世界最高のものを自分たちの力で実現しようという意識で、みなさん燃えてください。いま自分たちがやっている仕事は歴史に残るんだという、高い理想に向かって情熱とエネルギーを注ぎこんでやってください。
そのためにはみなさん一人ひとりが夢を持ってプロフェッショナルになってほしいと思います。研修生が練習に集中し、技術を習得してプロを目指す。同じようにコース課に入る人も、キャディさんになる人も、フロントにつく人もみんな自分がプロになるんだということを自覚して欲しいのです。仕事は与えられるだけでなく、自分で創りだすものです。一人ひとりが愛情を込めて創りだすものです。高校時代と違うのは、プロの心構えがあるかないかです。
かつての大量生産時代は、働く人も大量生産の部品の一部として与えられた仕事をしていればよかったわけです。しかし21世紀の時代になってからはただ作業をしていればいいというのではなくて、人の好みにあったものを汲み取って一品一品に心を込めて作っていかないと売れない時代になりました。時代が大きく変わってきたのです。
精魂を込めて仕事に打ち込み、高い目標に向かって職人魂を培う
一品一品を丁寧に作る、生きた職人魂が見直されてきたのです。職人魂とはプロフェッショナルの意識です。戦後、職人を軽蔑する風潮もありましたが、世界の大競争の時代になって、本物を作る日本人の職人芸の大切さが再認識されてきました。
みなさんも歴史を学んで知っているでしょうが、日本の職人芸は室町時代から延々と引き継がれて生きています。一人ひとりが腕を磨いてプロになり、職人芸を身につけて精魂込めて仕事をすれば、富里もカレドニアンも本物として生きていきます。どうすればお客様に喜ばれ、どうやったら会社に貢献できるかを考えて一日一日を積み重ねてください。そうすれば必ず個人の成長につながります。ただ社員の一員として与えられた仕事を、与えられた時間だけ働いて給料をもらえばいいという、サラリーマン根性ではダメです。
その道のプロになれば、あるいは職人として一芸に秀でれば、世界に通用します。どのような仕事でも精通すれば世界が見えてきます。不思議なものですよ。どの仕事を課せられても、精魂込めてマスターする努力をしてください。与えられた仕事をまずこなして、その中で最良の仕事をするのがプロです。
計画と準備と創意工夫で実行
ジャンボ尾崎を見てもそうですが、プロとして賞金を稼いできている中でものすごく練習をしますが、いろいろ工夫もしています。ボールの打ち方にしても、たえずどう打ったらよいか徹底的に追求しています。研究心と高い目標を持つから日本のトップを走ってきたのです。
私自身も自分に言い聞かせています。ゴルフ場の経営者として最高になるためにはどうしたらよいか。そのために計画し、準備をします。研究や調査を怠りません。お客様にいかに満足感を与えられるか、社員に充実感を与えられるか、その実現に向かって闘いの連続です。プロの卵のみなさんもこれを機会にぜひ、自分自身を練磨して、コースの維持・発展に力を尽くしてください。どうぞ頑張ってください。
日時 平成16年3月16日(火)
会場 カレドニアン・ゴルフクラブ